第11章 江戸川コナンとの対立
ジンの脅しにも、宮野明美は下唇を噛み締めながらキッと睨んだ。
「あまいわね…私を殺せば、永遠にわからなくなるわよ…」
そう言えば、よくよく彼女の姿を見ると彼女は手ぶらでここへと現れた。ジンの言葉は彼女にとって想定内ということだろうか…。だが…
「あまいのはお前の方だ…金の居所は大体の見当はついている…それに…」
ジンが言葉を切った時だった。私の手元の無線が音を立てる。
「キティ、こちらスコッチ。あったぜ。やっぱりホテルのフロントに預けてた。お前の予想通りだ」
私はスコッチの言葉で、10億のお金がこちら側にあることを知り、心の中で安堵する。あとは…。ちらりと宮野明美を見ると、彼女は驚愕の表情をしていた。自分たちだけだと思っていた場にいきなり現れた声と、その声の内容は彼女を青ざめさせるのには十分な条件だった。
「キティ…!! 『組織の始末屋』が何故ここに……まさかジン!! 最初から…!!」
私って組織の始末屋とか便利屋扱いされてるの…という知りたくもない新事実が明らかになった所で、ウォッカが笑う。
「お前とは違って、アニキには優秀な人材が控えてんだ。抵抗しても無駄だぜ」
「…無駄口たたくなウォッカ」
じろりと睨むジンにすまねぇアニキ…と肩をすぼめるウォッカ。そして、10億の在処という後ろ盾が無くなった宮野明美は唇を震わせる。
「いっただろ? 最後のチャンスだと…」
ボーッ…ジンの引き金と同じ瞬間…汽笛の音が辺りに響き渡った。