第11章 江戸川コナンとの対立
~誰かside~
「おはよー!! 蘭お姉さん、おじさん!!!!」
毎日迎えに来るなずなの声に、蘭が笑顔で出迎える。いつもは気だるげなおっちゃんもその時ばかりは違うようだった。
「よぉ、ちゃんとご飯食ってきたか?」
隙あればなずなを餌付けしようとするおっちゃんは、今日もそう言いながらなずなの口の中に唐揚げを放り込む。
「お父さん!! もー、なずなちゃんごめんね!!」
「ひゃいほーぶ!! おいひーよ!!!!」
口の中をもぐもぐとさせながら、笑顔のなずな。だが、その目の下には濃い隈があるのは誰の目からみても明らかだった。
「おい、なずな。お前ちゃんと寝てんのか? 隈がひでぇぞ」
だが、誰が聞いても、彼女は笑顔で同じ答えを繰り返すのだ。
「最近、読書に夢中になっちゃって…でも、今日は早く寝るよ!!」
そう言うが、その隈が取れることはなく、むしろ濃くなるばかり。そろそろ体を壊さないか心配になる。
「昨日も一昨日も言ってたじゃねぇか!! おい、お前の養父とやらは何してやがる? 1度連れてきて…」
そんなおっちゃんの言葉を遮るのは蘭だった。
「お父さん!! そんな他所の家庭に口出すなんて…!!」
「だが、なずなをこのままにしておけねぇだろ!! そうだ、お前今日泊まれ!! 養父には俺から言っといてやる!!」
そんな会話が繰り広げられるのも最近見る光景だ。そんなおっちゃんになずなは一言。
「楽しそうだけど、おじさんお仕事で忙しいでしょ? お仕事終わってから泊まりに行きたいなぁ」
確かに、おっちゃんの依頼人…広田雅美の人探しの依頼は不調だった。なにせ、手がかりが何も無い状態なので手探りで探さなければならないのだ。おっちゃんは悔しそうに頭をかく。
「楽しみにしてるね!!!! じゃあ、お仕事頑張って!! 蘭お姉さん、行ってきます」
俺の手を握り、走り出すなずな。元気そうに振舞っているが、彼女も不調そうでフラフラとしていた。