第11章 江戸川コナンとの対立
「広田雅美…ねぇ…」
私は耳の中から零れる声に乾いた笑いを上げた。そして、再度ため息を吐いた。どうしたらこの偶然が重なるのだろうか…と頭を悩ませる種だった。
「どうした…あの女が変な動きを見せやがったか?」
頭の上から聞こえてくる声に私は慌てて首を振った。危ない危ない…何気を抜いているんだ私…。これもあの推理オタクと呼ばれる彼がいらぬ首を突っ込むせいだ。
「毛利探偵事務所へのただの依頼だけだよ。彼女は変な動きしてないでしょ? ウォッカ」
双眼鏡を覗いて彼女の動向を探るウォッカに尋ねると、別に気になる動きはありませんぜという答えが返ってくる。耳の中の情報では、依頼は無事受け入れられたようだ。あとは、彼が何もしないことを祈るしかない。私はジンの膝の上から起き上がり、車から出る準備をする。
「依頼は無事完了。10億円、見つかるといいね」
そう声をかけると、ジンが関係ねぇ…と鼻で笑った。
「どうせ手に入れようが手に入れまいが、始末することになってるんだ」
でも、10億円があるのとないのとでは大きく違う。私はんーっと背伸びしてから、ひょいっと車をおりた。宮野明美との約束の日まで一緒に行動すると思っていたウォッカが慌てたように私を呼ぶ。
「おい、どこにいくんだなずな」
「約束にはちゃんといるよ。私が後始末すればいいんでしょ?」
私はバイバイと手を振って、扉を閉める。本当は私に全部任せてくれれば良かったんだけど…ジンはそれを断った。宮野明美は自分の手で殺したいらしい…よっぽどクソ親父の出来事は気分を害したらしい。
「さてさて。私は私の仕事の準備をしなくちゃね」
裏工作、隠蔽、逃走手段…やることは沢山あるのだ。