第10章 江戸川コナンとの再会
それからの私は大忙しだった。なにせ、工藤新一は高校生探偵として世間の注目を浴びていたからだ。しかも、彼は工藤夫妻の一人息子…あぁ…雑用係も楽ではない。
「なずな…お前最近寝てるか?」
遊園地以来久しぶりに会うウォッカ。彼にそう聞かれてしまうくらい、今日の私の顔色は最悪だと言うことだろう。ウォッカのその言葉で、私は今日の学校を欠席することを決める。
「寝てない…どこかの誰かさんがすーぐ殺すから後始末が大変なの」
まったく…せっかく幹部になったのに、ジンの尻拭いは相変わらずなんだから…そう頬を膨らませる。そんな私にウォッカはお前はよくやっている…と労いの言葉をかけた。
「アニキの後始末を担当できるのは、後にも先にもなずなだけだぜ? あの人は自分にも他人にも厳しいからなぁ。ひとつのヘマで何人死んだか分からねぇ」
こんなに長くアニキの後始末が勤まっているのはお前くらいだ…と嬉しくもない言葉をかけられる。できることなら、こんなブラック会社さっさと抜けている。
「あと少しで終わるから、終わったらご褒美頂戴ってジンに言っておいて」
その言葉に了解と言いながら、私の頭を撫でるウォッカ。分厚い掌に遠慮なく撫でるから、私の頭はボサボサだ。
「…あぁ…。そう言えば、お前にアニキから伝言があったんだった」
手を振って、互いに別の方向へ歩みを進める直前…ウォッカは思い出したように振り返る。私はすぐに何の話か察し、ため息をつきたくなった。ウォッカが口を開き、その内容がおおよそ私が予想した通りのものだった。
「例の見せしめの件だが…今回のアニキの任務が終わり次第決行だそうだぜ」