第10章 江戸川コナンとの再会
「な……なんだよこれ…」
私たちはベンチで頭を抱えていた。自分を工藤新一と名乗った少年は、自分の姿に困惑していた。私はというと何故こうなったのか分からず、頭が痛くなっていた。私は状況を整理するために口を開いた。
「……つまり…お兄さんは黒づくめの変な男達の後をつけて、薬を飲まされた…と」
「……あぁ」
黒づくめの変な男達…つまりはジンとウォッカのことだろう。新一お兄さんやはり取引現場を見てしまったのだと知る。処理班にはすでに連絡をしてあるため、現場をただの喧嘩沙汰で起こったことという風にはしてくれているだろう。問題は……この少年…もとい工藤新一だ。身体が小さくなる薬なんて私は聞いたことがない。何かの副作用なことは間違いないのだが……一体どうして……
「警察……!! おい、なずな!! 警察に……」
「警察に行って信じて貰えるの?」
警察は不味い…。まぁ、到底信じられる話ではないし、子どもの姿のため相手にもされないだろう。だが、私は体にGPSを入れられているため、警察に行けば裏切り行為と見なされる。一緒に行く訳にはいかないのだ。
「………クソっ!! あいつら…!!」
私は彼に自分の来ていた上着をかけた。今の彼には大きすぎるTシャツを着ただけの格好のため、見ていて寒そうだったからだ。
「………よく分かんないけど、とりあえず家に戻った方がいいと思うよ。新一お兄さん」
「………お前は俺が工藤新一って信じるのかよ」
自分で言っておいて何を今更…私は微笑み頷いた。ポケットの携帯が催促するように何度も鳴り、新一お兄さんは私をハッとした顔で見た。
「…じゃあ、私そろそろ帰らなきゃ。…本当は私の家が一番いいんだろうけど……ちょっと無理なんだよね。ごめんなさいお兄さん」
「…いや…なずな!!」
新一お兄さんはまた何か言いたそうにしていたが、私は手を振ると走ってその場を去った。まずいまずいまずい!! 携帯の通知を見れば、スコッチからの連絡が数件…そしてこうしている間にもメールが何通も届いてくる。その相手は…
「ひっ!?」
不意に電話が入り、私はビクッと体をふるわせた。表示されている名前に私は意を決して出る。
「……何してやがった」
私は必死に言い訳を考えた。いつもより低い声の電話の主は、私の目線の先の車の中で私を睨んでいたのだった。