第10章 江戸川コナンとの再会
結論から言うと……駆けつけた場所には、新一お兄さんの死体はなかった。その代わりに…
「……男の子?」
明らかに、大人サイズの服を着た少年が頭から血を流して倒れていたのだ。私は首を捻ったが、取り敢えず彼を起こすことにした。
「起きて……こんな所で寝てたら風邪を引くよ…」
何度か強めに揺らすと、少年は瞼を開けて起き上がった。
「自分の名前言える?」
私の問いに、少年はぼーっと私を見てそして笑った。
「…………なずなじゃねぇか。久しぶりだな。蘭もおっちゃんも心配してたぞ」
彼の口から私の名前が出て身構えたが…蘭お姉さんを知っているということは彼女から聞いたのか…? 私が怪訝そうにしているのを、少年は不思議そうにする。
「お前、俺の事忘れちまったのかよ。俺だよ俺。工藤新一だ……」
私はハッとした。遠くないところで物音がしたからだ。死体処理班か……いや、一般人という可能性もある。そこら辺にあった服を掴んで、彼に服を無理やり着せる。
「お、おい!!」
勢いよく手を引き、私たちはその場を後にしたのだった。