第10章 江戸川コナンとの再会
「………え?」
怪訝そうに眉を顰める従業員さんに、私は慌てて首を振った。
「違うよ!! お父さん、今トイレ……」
「君、ここ数時間ずっとひとりじゃないか? お父さんとはぐれたのかい?」
従業員は一人でいた私をずっと見ていたらしい。こんなことしている場合ではないのに…!!
「あの……」
もう逃げ出すか…そう考えていた私の頭上から、聞き覚えのある声が聞こえた。顔を上げると、蘭お姉さんだった。………できれば会わずにいたかった…
「この子、知り合いの子なんです。なずなちゃん、はぐれちゃったの?」
だが、ここは頼るしかない。私は意を決して蘭お姉さんに抱きついた。
「蘭お姉さん!! ううん、パパお腹痛くなったゃってるだけなの!! すぐ戻ってくるから、先に駐車場に行っててって!!」
「そっか。じゃあ、お姉ちゃんと一緒に待ってようか」
蘭お姉さんの登場にホッとしたのだろう。従業員はそれならば…と自分の仕事に戻って行った。私はほっとしたが、新一お兄さんたちの姿は消えていた。それと同時にポケットに入っていた携帯が震えた。私が携帯を開き、そして息を飲んだ。
「さっ!! じゃあ、一緒にお父さんを……」
「あっ!! パパだ!! 蘭お姉さん、パパ来た!! ありがとう!! じゃあね!」
私は蘭お姉さんに手を振り、勢いよく駆け出した。後ろでは蘭お姉さんが私を呼ぶが、私は気付かないふりをして人混みに紛れた。
「あっ!! なずなちゃ……」
段々と蘭お姉さんの声が消えていくの反対に、私は不安でいっぱいになっていた。
「………っ!!!!」
携帯には一通のメールが入っていた。
『任務完了。あとの処理は任せた』
と。