第9章 スコッチと幹部昇進
~誰かside~
「お願い…かい?」
うんっと元気よく答える彼女に僕は微笑んだ。彼女からのお願いは珍しく、また年相応のように思え可愛らしかったからだ。なずなが失踪する数日前のことだった。
「あのね、お願いっていうのはコレなの!!」
コンコンと部屋に響く音をたてるなずなに、僕は笑みの表情のまま固まってしまう。knock音……つまりNOC、スパイの話だ。このジョークを好んで使うのは…ベルモットの影響に違いないだろう。
「…………それで僕にどうして欲しいんだい?」
ふふっと笑みを浮かべるなずなは、携帯の画面を見せた。それはある人物の顔写真だった。
「私がお願いしたいのはこれだよ。方法は任せるから、お願いね。バーボン」
そう言うと、彼女は画面に写ったそれを僕の携帯へと送った。彼女の願い……それはNOCと疑われた彼らを日本警察が保護して欲しいということだった。彼女からの送られてきた情報は詳細なもので、通常の方法では手に入らないものだ。
「………これを…どうやって………」
「内緒」
そして、日本警察がNOCを保護した直後…。それとは別のNOCたちが次々と行方不明になったのだった。