第9章 スコッチと幹部昇進
「なずな!! 見てみろ!!」
スコッチがニヤニヤしながら、私にじゃーんっと見せたのはケーキの箱だった。
「なんと今日のおやつはケーキだ!! チョコ、チーズ、フルーツとかいっぱいあるぜ!!」
箱の中身は、まるで宝石箱のように陽の光に反射してキラキラしていた。私は思わず感嘆の声を漏らす。
「3時間も並んで、大変だったんだぜ!!」
どうだっというような顔で私の顔を見るスコッチ。昼間、主婦たちの中に3時間も並ぶスコッチの姿が浮かび、私はクスッと笑った。
「ありがとうスコッチ!!」
「いいってことよ!!」
私はフルーツのを、スコッチはチョコを皿の上に乗せ、おやつタイムに入る。学校からの帰宅後、それが私たちの日課だった。
「美味いな!! なずな」
チョコを口の周りにつけ、スコッチが私にニカッと笑う。私もクリームを口につけてニコッと笑う。
「こっちのはどんな味なんだ?」
「あっ!」
私のケーキに自分のフォークを刺し、パクッと口に入れるスコッチ。私は笑いながら、彼のケーキに自分のフォークを突き刺す。
「んー!! チョコも美味しい!!」
「だろだろ!!」
こんな和やかな時間が続けばいいのに…。柄にもなく、私はそう思いながら甘いケーキを飲み込んだ。