第9章 スコッチと幹部昇進
「なずなちゃん!! 一緒に帰ろう!!」
「おい、なずな。お前、準備遅せぇよ」
「元太くん!! 宿題を机の上に置きっぱですよ!!」
私を呼ぶ3人…歩美ちゃん、円谷 光彦、小嶋 元太は、席がたまたま近くだったことからよくいる友人たち。私は彼らと共に学校から出た。
「今日は公園で仮面ヤイバーでもすっか!!」
元太くんがスキップをしながら言い、光彦くんは大きくため息をついた。
「もー元太くん。それは昨日もしたじゃないですか。今日は別のことをしましょうよ」
「そうだね。今日は雨降りそうだもん。誰かのおうちに行く?」
私は3人の何気ないやり取りにくすくすと笑う。そして、私は足を止めた。
「あ! なずなちゃんここだっけ?」
期待していたのか少し残念そうな歩美ちゃんに、私は申し訳なさそうに眉を下げた。
「なんだよなずな。また遊べねぇのかよ。付き合い悪ぃな」
「元太くん!! 七種さんも用事があるのでしょうから無理に誘ってはいけませんよ!!」
まるで元太くんの保護者のような光彦くんに、私はごめんねと言い手を振った。
「また明日!! 学校でね!! 」
「うん! ばいばーい!!」
私は彼らと別れを告げると、大きな通りを右に曲がる。学校というものに初めて行ったが……日本の学校だからか? あまりにも危機感というものを感じられなかった。
「………まっ…私の方が異常か…」
私はポンポンと軽くポケットを叩いた。布こしにでも感じられる、ポケットの中にある固い何か。
「私が学校に行くなんてなぁ…」
あの子達は思いもしないだろう…何食わぬ顔で、懐に殺傷能力のあるナイフを忍ばせているクラスメートと呑気に話をしてただなんて。