第9章 スコッチと幹部昇進
大人が一人…それに対して子供たちが数十人居る部屋。そこに私はいた。子供たちは下を向いていたり、外を向いていたりしている。ただ、みんなチョコんっと大人しく椅子に座っている…そんな空間。その中で、ただ一人の大人が口を開いた。
「さぁ! この文を読んでもらう人は……じゃあ、七種さん!!」
私ははいっと元気よく答えた。そして、大きな声でゆっくり黒板の文字を答えた。
「むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました」
と。大人…改め先生は流暢に読む私を褒め、周りの子も拍手してくれる。
「なずなちゃん!! すごーい!!!!!!」
前の席の子…吉田 歩美が目を輝かせて私の手をぎゅっと握る。私はありがとうと言い、照れながら彼女に微笑んだ。
ここは帝丹小学校。私はここの新入生として、この学校に在籍していた。
「そろそろ社会に出させた方がいいんじゃない? もう貴方だけの"キティ"じゃないんだから…ジン」
ベルモットのお姉さんのこの言葉がきっかけで。