第8章 ライとバーボン
「初めてでこれなら、中々のもんだ」
ボヤける意識の中で、ライが僕の体を仰向けにするのが分かった。もう…終わってくれ…そう思った瞬間、僕を先程と比べ物にならないくらいの圧迫が襲った。
「がっ!?」
「…中々の具合だな」
痛い…いや、痛い所の話ではない。内蔵が全て押し上げられているような感覚…。僕は吐きそうになり、口を抑えた。そんな僕を知って知らずか、何度も何度もライは突き上げていく。
「ライ……やめっ…」
「あ?」
ライが怪訝そうな声を出し、そして力強くもう一度突き上げる。もう……無理だ。僕は我慢出来ず、床に嘔吐した。2回ほど胃の中を物をぶちまけた時だったか…腹の中の圧迫感が消え、僕は力なくベッドに倒れた。口の中に酸っぱいものが広がる。
「……おい」
しばらくして、ライが僕の腕を引き寄せた。またしようというのか…僕は抵抗する気力もなく、彼を睨んだ。だが、ライは片手にペットボトルを持ち、それを僕に差し出した。
「飲め」
だが、そんな気力は僕にはない。首を振るのも億劫だった。すると、
「………んっ!?」
ライはペットボトルを口にしたかと思うと、そのまま自分の口から僕に水を飲ませた。ライの口から冷えた水が僕に入ってきて、その時初めて僕は自分が水分を欲していたのだと分かった。ライは二、三度同じことをしたときには、僕は少し体力が回復していた。
「………ゴホッ」
ベッドに倒れ込んだ僕は、瞼が下がってくるのが分かった。だが、その前に再びあの圧迫感が戻ってくる。僕は枕を彼に投げつけた。
「ぐっ!!」
僕は腕を縛られ、再びライが突き上げると、もう抵抗する気も失せていた。……早く終われ…と、それだけ。
「…確か…ここだったな」
「ひっ!?」
だが、ライは最後まで自分本位だった。彼は僕のいい所を探し当て、そこばかりついてきた。さらには、耳、脇、背…などといった所に舌をなぞらせ、僕はそちらに気を向けられた。屈辱以外の何者でもなかった。
「…イくぞっ!!」
そして、彼が僕の中で果てた時、僕もまた彼の物で果てた。その後の僕の記憶はなかった。