第8章 ライとバーボン
〜別side〜
どうしてこうなった。僕は腕を掴み、乗り上げるライを見て驚愕しながらそう思った。怒りと無力な自分への苛立ちから考え無しにこの男を追ったが、僕はいつの間にか部屋に連れ込まれ、この長髪野郎に組み敷かれている。半裸になる男に僕は怒鳴った。
「お前は、何がしたいんだ!!!」
僕の拳を難なく掴み、男は僕の服を慣れた手つきで脱がせ、僕の抵抗も虚しく男二人がベッドで裸になる状況が出来上がる。
「…黙ってろ」
ライは普段より何割増しの悪人面で、僕の顎をつかみ、強引にキスをした。いや、あれはキスというより…獰猛な動物に噛み付かれた…という表現の方が正しい。舌を強引にねじ込められ、僕は酸欠から頭が靄がかかったようにぼんやりとした。
「……はっ! お前、そんな顔出来たんだな」
ライの唇が離れ、やっと酸素が吸えるようになり、僕は思いっきり息を吸った。僕は彼を睨んだ。こいつ…こんな趣味があったのか…
「それとも、そんな趣味でもあるのか?」
僕の格好を見て、笑うライ。僕は彼を睨みつけ、膝蹴りを繰り出したが、ライはその前に僕の体をベッドに押し付けた。
「酷くされたいならそう言え」
そして、ライはいきなり僕の中に指を突っ込んだ。圧迫されるような痛みと、自分の中をこじ開けられるような不快感が僕を貫いた。
「そのナリでココは使ったことはねぇのか」
はぁ!? そんなもんあるわけないだろ!!そう言い返したかったが、ライの指が僕の中の何かに触り、僕の体は震えた。それに何よりも驚いたのは僕自身だった。なんだ…なんだこれは…。僕の動揺ぶりを見て、ライはニヤリと笑みを浮かべる。
「ここがいいのか?」
再びそこに指を当てるライ。その度に僕の体は、僕の意志とは関係なく跳ねる。不快感が快楽に変わって行くのが分かり、僕はそこから逃げるように上へと上がっていく。
「逃げるんじゃねぇ」
舌打ちしたライが、力強くそこを押し、僕は仰け反りになる。息が荒くなり、今までない快楽を感じ、僕はやっと自分がイってしまったということに気づいた。