第7章 殺しの任務
「人の命を奪うと、一生それは拭えない。そういう生き方しか出来なくなる。もう一度言う。人を殺すな、紬」
うるさいうるさいうるさい!!!足を上げ、地面に力いっぱい足を下ろした。じんっとした痛みを感じ、少し冷静さを取り戻した気がした。自分は雁字搦めな生き方をしているくせに。自由な生き方なんてしてないくせに。そのためなら、人を殺したことだってあるくせに。ただの詭弁じゃないか!!
「……そ、そうだ! 僕は君のことをなんでも知っている!!君の両親のことも名前のことも知ってる!! 確か……君の名前は………」
私は引き金を引いた。それは、彼の左胸ではなく、腹部に当たったが、私はホッとした。……大丈夫。私は殺せる、と。
「…………あ……ごふっ」
「興味無い。どうでもいいの。……私は生きたいだけだから」
そして、もう一度銃を持ち直そうとした。だが、その時私は真後ろに人の気配を感じた。
「…………っ!?」
振り返った瞬間、私は頬に衝撃が走り、横へ吹っ飛ばされた。今まで感じ事の無い痛み……いや、1度だけあるか…。あの時は腹部だったが。私は立ち上がった。誰だ……まさか協力者か…。涙でぼやける視界で、その人物が長い髪に黒い服を着ていることは辛うじて分かった。
「………ジン?…なんで邪魔を…………」
ジンが邪魔をする理由が見つからない…。だが、私ははっきりその姿を目に映し、驚愕してしまう。
「…………俺との約束、忘れたとは言わせんぞ。紬」
そこにいたのは………忘れもしないクソ親父だった。