第7章 殺しの任務
部屋から出た私は近くに階段があったので、そこへ登り始めた。後ろから男の声が聞こえる。
「混乱させてしまったね。外は危険だよ。また誘拐にあってしまう」
男は私を知っているようだ。もしかしたら、私があの紛争地域にいたのはこの人のせいかもしれない…。しかし、正直そんなことはどうでもよかった。それよりも、私は屋上へと向かわなければならない。
「はぁ…はぁ………」
重くなる足をなんとか奮い立たせて、なんとか屋上へと着いた。涼しい風が私の熱をさらってくれる。……とうとう来てしまった…。バーボンたちの助けは期待出来ない。ジンが助けてくれるはずもないし……私が一人でやるしかない。それか……私は周りのビルを見た。今まで会うことのなかった、ライがもしかしたら手を貸してくれるかもしれない。……まぁ、期待は出来なさそうだが…。
「………こんなところまで来て…悪い子だ」
男がヨタヨタと屋上へと現れた。薬が効いてきたのか辛そうな男。彼は私に向かって歩いてくる。
「君を最初見た時、運命だと思った。母親の手に引かれる君を見た時、僕は君が欲しくなった。だから、君を手に入れた時、僕は思わず興奮してしまったよ。邪魔な奴らは全員殺したし、顔も変えて、さぁこれからだって時…君はいなくなった」
私はそろそろか…とバッグの中の銃を触った。饒舌に喋ってはいるが、男の体はフラフラと左右に揺れている。薬の効果だ。私はバックから銃を取り出した。男は過去を振り返るように景色を見ている。やるなら今だ。
「………ふぅ!!」
私は銃を取り出し、彼に向けた。別に震えもなかったし、的も練習の時より大きかったから、外さない自信があった。引き金に指をかけ、彼の左胸に狙いを定め、引こうとした。
「なんで殺しちゃダメなの?」
脳裏に、あの時のことが蘇る。……なんで今!
「お前が綺麗な手を………」