第7章 殺しの任務
「……ターゲットの確認はできたか?」
イヤフォンからスコッチの声が聞こえ、私は小声で返事をした。パーティが始まって1時間。まだターゲットが現れる気配がない。しかし、私は気になることが1点。
「…空港じゃないの?」
そう。私は空港でターゲットを殺すと聞いていたのだ。それが何故か正装してパーティに来ている。
「それがなぁ。とっとと逃げ出すと思ってたターゲットに、以外にも協力者がいてな」
そいつの特定に少々時間がかかって、予定より大きくずれたってわけだ。と、スコッチが簡単に説明してくれる。私はへーと言うと、携帯を取り出して、電話する振りをする。
「ん?どうした?」
「なんでもないよまま。でも、やっぱり1人じゃ寂しい。……怖そうな人とかいっぱいいるし…」
訳、ちょっと面倒な人がいる。スコッチに通じたのか分からないが、少し焦るスコッチ。イヤフォンから音が聞こえず、首を傾げていたが、しばらくすると
「す、すまん。また連絡するな」
といい、それからこちらから何を言っても帰ってくることは無かった。
「……えー」
私はため息をつき、携帯をバッグに入れた。何かいいアドバイスをくれると思ったのに…。ターゲットの姿もないし………
「お母さん、来られないって?」
ビクッと体を震わせ、恐る恐る顔を上げるとそこにいたのは、先程声をかけてきた男。
「…………来るよ…」
まさか聞かれてた…?いや、私の声を聞ける距離にこいつはいなかった。すると、私の反応を見たのか…。私は流石にやばいと思い、笑顔を作った。
「じゃあ、それまでお兄ちゃんと一緒にいようか?」
私の手を掴もうとする男。私はそれをひょいっと避け、ボーイに声をかけた。
「私のままが来たら、トイレに行ってるって言ってほしいの」
ままの名前を適当に作り、私はトイレへと逃げた。………まだ見てるなぁ。私は中々諦めの悪い男を呆れ半分だった。