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赤井さんちの一人娘

第7章 殺しの任務


~別side~

なずながいなくなったことを俺が知ったのは、3日後のことだった。

「…俺がいない間に、大変だったんだな」

俺の部屋で、しかもひとつしかない俺のベッドで寛ぐ降谷を俺はそう労った。降谷はため息をついた。

「お前がいたらもっと楽だったと思うんだがな」

お前はあの子と仲がいいから…その言葉に俺は笑ってしまった。お前ほど親しい人物なんて、ジン以外いないだろうに。そう言うと、降谷は珍しく顔を曇らせた。

「……俺は結局、あの子の支えにはなれないからな」

……案外、今回のことで1番こいつがショックを大きく受けていたようだ。俺は降谷にバーボンが入ったグラスを渡す。

「……俺にバーボンを渡すのか?」

苦笑する降谷に俺は笑いかけた。偶には、自分のことを忘れて飲むのもいいだろう、と。そういう俺は、自分のではなくライを飲んではいるが。

「…………ライ…か」

「どうした?」

ここ数日のライとの雰囲気は最悪だった。顔も合わさないようにしているほどだ。

「ちっ……あの長髪野郎が……」

ここぞとばかりに、綺麗な顔を歪ませ、舌打ちを連発する降谷。俺は恐る恐る聞いた。俺がいない間に何があったのかを。

「………恐らく、あいつがあの子の探している父親だ」

俺は思わず吹き出してしまった。ちっ、父親!?あいつが!?!?俺の反応を無視して、降谷は話を続ける。

「紛争地域で置き去りにする奴なんて、ろくな父親じゃないと思ってたが…まさか身近にいたとは」

……降谷から殺気を感じられる。は、話を変えなければ、俺が危ない…

「そ、そう言えば…よくジンはなずなの居場所が分かったよな」

なんだかんだ言って、信頼関係はあるんじゃないか。ジンにそんな一面があるだなんて意外だが。しかし、俺のその言葉に、さらに降谷の殺気が増した気がした。

「あいつ!!」

降谷の持っていたグラスが真っ直ぐ壁に叩きつけられた。…………何故わさわざ俺のすぐ真横を通ったのだろう。降谷は口を開いた。目をギラギラさせて。

「そんな生易しいものか!! あいつ…あいつっ!!いくらなんでも、あそこまでするか!!!」

どうやら俺の言葉は降谷を落ち着かせるには至らなかったようだ。だが、降谷の次の言葉で、俺はギョッとするしかなかった。

「あいつはな!GPSをあの子の体の中に埋め込んでたんだ!!」
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