第2章 Episode of 跡部②
「間抜けな顔して何考えてやがる?」
嫌な顔。
ニヤニヤして…
「アンタなんか願い下げよ!誰がアンタの女になんかなるもんですか!!」
こいつのペースにのまれちゃだめ。
私は跡部をキッと睨み返す。
「勝ち気な女は好きだぜ、。絶対お前を俺のものにする」
何言って…
あれ?声が出ない…
気づくと熱い柔らかいものが唇に当たっていた。
「んんっ…」
私…キスされてる?!
ちゅっというリップ音と共に唇が離れ、
はっ、と息をつく間もなくもう一度口付けられ、唇に侵入してくるぬるりと熱いもの…
くちゅ…ちゅ…
私の舌に絡められる跡部の舌、舌全体を愛撫するように絡めては舐め上げ、歯列をくるりと伝うと、また絡められる。
「ん…ふぅ…んん…っ」
手足の自由を奪われ、拒めない。
私の口内をひとしきり蹂躙し、離れた唇から一気に酸素が入ってきて思わず咳き込む。
顔が熱い。目に涙が滲む。
「いい顔だな」
「ゲホゲホッ…はっ……最低…」
「その顔もそそるな」
私のほっぺたをやんわりと撫で上げながら耳元に息を吹きかけるからくすぐったさとゾクゾクする感覚に全身が震える。
そのまま耳たぶをぺろりと舐め上げ、ゆっくり首元まで下がると、チクリと刺すような痛み…
「痛っ」
「俺様からの土産だ。ありがたく取っておけ」
私を組み敷いていた跡部が起き上がり、私の両手と全身が解放されると、急いで起き上がり、右手を跡部に振り下ろすが、2度目のキャッチに負け、力強く握られた右腕を引き寄せられる。
「お前は何度も同じ手を使って効くと思ってるのか?」
もう一度近くなる顔。吐息がかかる。
「もう1回されたいのかよ?アーン?」
そう囁かれると、さっきのキスが蘇り、一気に顔が熱くなる。
「嫌っ!!」
離れようとすると更に手に力がこもり、グイッと更に引き寄せられ
「お前に選択肢はねぇ、俺様は絶対だ。覚悟しておけ」
全身が危険を察知して震える。
こいつ…マジでやばい…
離された手首にはくっきりと手形が赤く残っていて、男との力のさを見せつけられた気がした。
「はやく帰らねぇと昼休み終わっちまうぞ」
何事もなかったかのようにサラリと言ってのける跡部。
悔しさにまた涙が滲む。