第2章 Episode of 跡部②
私が黙っていると、侑士は何かを察したように手を叩いて
「まぁええけど。そうやちゃん!今日の放課後、テニス部見に来ん?」
と言った。
「テニス部?なんで?」
「俺、テニス部やねん、俺のかっこいい姿見てみいひん?」
メガネをクイッとあげてキメ顔をしてくる侑士。
へぇ…テニス部か…
外に目を向けると、クラスの窓からちょうどテニスコートが見えた。
テニスなんてやったことないしなー
でもせっかくだし見に行ってみてもいいかも。
「いいよ!行くよ!」
「ほんま?ほんなら終わったら一緒に行こうや」
「わかった!」
午後の授業中、割れてしまった自分のスマホから新しいスマホにデータを移した。
画面はバキバキに割れてしまっていて、ほとんど画面が見えなかったから、正直言ってありがたい。
まぁ、弁償ってやつよね。それくらいしてもらっても構わないよね。
そんなことを考えていたら、ふと昼休みのあのことが蘇る…
あいつの唇…柔らかかったな…
いい匂いしたな…
って!もう!何考えてんの私!!
あいつは最低なやつなんだから!!!
思い出すとまた顔が熱くなる。
「さん?ぼんやりしてないで授業に集中しなさい!」
窓の外を眺めてたら、先生に名指しで注意を受けた。
もう!全部全部あいつのせい!!!