第2章 Episode of 跡部②
悔しくて無言でふらふらと出口に向かう途中また後ろから声をかけられ、振り返ると「受け取れ!」という声と共に何かが飛んでくるので反射的に受け取る手を作ると、私の手に落ちた結構な重みに手が沈む。
「うわっ…」
手元を見るとスマホがしっかり手に収まってた。
「あっぶな!!ってかこれ…」
「今日はすまなかったな、それは俺様からのプレゼントだ。受け取れ。」
跡部が謝ってる。椅子が向こうを向いてしまってるから表情がわかんないけど…
私のスマホ割れたの知ってたんだ…
「あ、ありがとう…」
「受け取ったらさっさと帰れよ、」
もう一度シたければ別だがな、と付け加えて振り向く跡部の顔はまたあのニヤリ顔だった。
そんなの御免だと急いで生徒会室を飛び出したけど、色々ありすぎて扉の前で腰が抜けてしまった。
--俺の女になれ
思い出す言葉とあのキス…
あっそういえばとポケットから手鏡を取り出して自分の顔を見ると、やっぱり…
くっきりと首元に残る赤い跡
「あいつぅぅ…」
こんなとこにつけたら隠すの大変じゃないの!
不自然だけど、髪を首に巻き付けるように隠して教室への道を戻る。
チャイムが鳴るちょっと前に教室に着いた。
お弁当食べ損ねちゃったし…ほんと今日はツイてない。
席につくと、ご機嫌ナナメやなお嬢さん?と侑士が私の肩を叩く。
「ほんっと最悪!なんなのアイツ!ありえない!」
「アイツて跡部か?えらいキングが出てきたやろ?」
「キング?!冗談!あんなのキングなんかじゃない!!」
机を拳で叩きながら首を振る。
そんなわたしを見て侑士がおや?と顔を覗き込んでくる。
「お嬢さん、メイク直したな?ついでにスカートもちょこーっと折ってきたやろ?」
スカートのところを言う時は机の下を覗きながら言うもんだから、なにやってんの変態!と足を組む。足綺麗やなー自分ーなんておどけてる侑士。
教室に帰る途中にトイレでメイクとスカート丈を戻した。なんならさらに短くした。ちょっとした反抗心。
結局生徒会長様とやらには直してこいなんて言われてないしね!そう言うと、ほな生徒会室で何してきたんや?ときかれ、確信を付かれたような気がして、それは…と口ごもってしまう。