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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第8章 体育祭、その前日譚


 流石、ヒーロー博士。私の個性の話をしたら、早速考察を始めてしまった。でも、傍から聞いてると本当によく頭が回るなぁって感心しちゃう。私が緑谷君の前で個性を使ったのなんてほんの少しなのに、私説明したっけ?って言いたくなるくらい当たっている。
暫くブツブツは続いたけれど、慌てて顔を上げるとやっぱり変な動きをしながら緑谷君は早口で私に言う。

「し、至情さん、ありがとう!とりあえず、これオールマイトと相談してもいいかな!?せっかく提案してもらっちゃったのに、待たせちゃうことになっちゃうんだけど……」
「それは気にしなくてもいいよ。また答えがでたら聞かせてね。」
「あ、ありがとう!」

 ぶんぶんと手を振ってくれる緑谷君に手を振り返しながら、今度は走らずに食堂を目指す。……あ、そういえば携帯で焦凍に待ってて欲しいってL〇NE打てばよかったんじゃ?慌てて携帯を開いたらそこそこ時間が経っている。うぅ、まだいてくれてるかな……。ダメ元でメッセージを送ってみると、すぐに既読がつく。

『待ってる。昼は何食うんだ?』
『メニュー見てないから適当に!』
『わかった。そば買っとく。』
『ありがと!』

 焦凍、私を待っててくれた上に気が利く……!紳士!チョイスは安定のそばだけど!焦凍が待っててくれているなら、そんなに焦る必要はない。走ってはいないものの、随分と速足だったのを緩めて焦凍の待つ食堂へと歩いて行った。

――

 全ての授業が終わった放課後。非日常に巻き込まれ続けて、尚且つヒーロー基礎学なんて普通じゃない授業を受けてたりすると一般授業だけの日がちょっと物足りなく感じてくる。いや、だからって非日常はお呼びじゃないです。ヒーロー基礎学は増やしてほしいかもだけど。

「あ、あの、至情さん!その、お話がっ……!」

 さっさと帰り支度を終えた焦凍が急かすのを聞き流しながらかばんに教科書を入れていると、緑谷君が慌てたように話しかけてきた。……ああ、もしかして答えが決まったのかな。ただ、思いのほか緑谷君の声が大きくて周りの視線を集めまくってるのを感じる。緑谷君の緊張しきった声といい、事情をしらなきゃ告白前みたいな感じだよね。
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