第20章 期末テスト、その前日譚
物間君の襲撃以外は特に何かが起こることもなくお昼を食べ終え、そして午後の授業も終えた後。ようやく芦戸さんと上鳴君達に実技試験の内容を伝えることができた。対ロボということで楽ちんだと安心したらしい2人は、百ちゃんとの勉強をしっかりすれば林間合宿に行ける!と大喜びだ。けれど、どこかピリピリとした雰囲気の爆豪君にこの空気は耐えかねたようで、人でもロボでも変わらねぇだろアホが、と怒る。
「調整なんか勝手にできるもんだろ、アホだろ!なあ!?デク!」
果てには緑谷君に飛び火したようで、爆豪君が鋭い目つきで緑谷君を睨みつける。その眼差しは、初めての戦闘訓練の時のように荒れている。げんいんは、この間のレースかな。緑谷君の動きが爆豪君に似てたし。
「“個性”の使い方……ちょっとわかってきたかしらねぇけどよ、てめェはつくづく俺の神経逆なでするな。体育祭みてぇなハンパな結果はいらねぇ……!次の期末なら個人成績で否が応にも優劣がつく……!完膚なきまでに差ァつけて、てめェぶち殺してやる!轟ィ……あと、レースで舐めくさった至情!てめェらもなァ!!」
緑谷君どころか私と焦凍にも挑発すると、怒り任せにドアを勢いよく閉めて去っていく。完全に和気藹々としていた空気を凍らせていった爆豪君がいなくなり、何人かがホッと肩を下ろした。
元々、手加減なんてするつもりもなかったし、する必要性もなかったけど……なんというか、また爆豪君に負けるのは癪に触る。
「期末テスト、頑張ろうね。焦凍」
「……ああ。」
とりあえず、まずは3日間の筆記試験。乗り越えるためにしっかり勉強して、そしてトレーニングだ!
決意を新たに、グッと腕に力を込めた。