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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第2章 入試試験


『今日は俺のライブにようこそー!エヴィバディセイヘイ!』

 高いテンションでホールの舞台にボイスヒーロー・プレゼントマイクが姿を現わす。ぴりぴりとしている空間に挨拶を呼びかけられたところで、返事をする余裕や度胸のある受験生は誰1人いない。そんな空気の中プレゼントマイクは変わらないテンションで試験内容を説明していく。制限時間は10分。ロボットの仮想ヴィランはそれぞれ強さで1~3Pに分けられていて、お邪魔虫な0Pもいる。反ヒーロー的な行動を取らなければ大丈夫、と……。
途中、生真面目な受験生が質問したからお邪魔についてもわかったけど、他の受験生を威圧する当たり余裕はなさそう。怒られた子は私よりも後ろの席みたいだから誰かはわからない。ドンマイ、名前も姿も知らない誰か。

『俺からは以上だ! 最後にリスナーへ我が校“校訓”をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と! “Plus Ultra”! それでは皆、よい受難を!』

 その言葉をもって説明会は終了。制服からジャージに着替え、バスに揺られて数分。私達は演習場Aの前に立っていた。高い壁に大きな両開きの扉はこの演習場の広さを物語るようで、改めて雄英の敷地の広さや施設の凄さを実感する。広い場所を負担なくスムーズに動けるよう、ストレッチは欠かさない。
私の個性は“ドッペル”と“エネルギー操作”の複合型。“ドッペル”は宿主の一番強い感情を異形として召喚する個性で、私のドッペルはサーベルを引き連れて泳ぐ鎧を着た人魚。その人魚が、お父さん譲りの“エネルギー操作”という個性を持っている。人魚そのものを呼び出すことはもちろん、サーベルだけの一部召喚や“エネルギー操作”の個性のみを借り受けることもできる。人魚そのものを呼び出すのは私の切り札だし、今回はサーベルと“エネルギー操作”だけでなんとかしよう。
 しっかりと筋肉をほぐして準備が万端になると、いよいよ閉じられた鉄の門が重い音を響かせながら開いていく。いつでもスタートができるように体勢を整えて緊張の糸を張りつめていつでもトップスピードに乗れるように備える。
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