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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第2章 入試試験


『はい、スタートー!』

 事前の合図は何もなく、いきなりハイテンションな開始の掛け声が響き渡った。その声に弾かれるように強めに個性をかけた足で地面を蹴って、市街のビルよりも高く飛び上がる。空中で体制を整えて個性で空気のエネルギーを奪って蹴れば、身体はトップスピードで空を滑るように飛ぶ。後ろの方から爆発音と、何か叫ぶような声がした気がしたけど振り向く余裕はない。前方に目を凝らしてなるべく仮想ヴィランが集中している場所を探す。
――見つけた。
 演習場の奥側になかなか多そうな場所があるのを見つけて、そこを目掛けて空を駆ける。両手にサーベルを召喚して、ぐんぐん近づくヴィランに向かって構えを取る。接敵まで、3、2、1――ジャスト。とんでもないスピードの乗った刃は鉄の装甲を紙のように裂いて、仮想ヴィランを破壊する。丁度動力源を斬ったのか、爆風で身体がふわりと浮いたのを宙返りしながら地面に降り立つ。爆音で私というヒーローが近くにいると認識した仮想ヴィランが前から、後ろから近付いてくる。ああ、なんて好都合。

「さぁおいで、わたしはここにいる!」

 気が付けば夢で感じた言葉を口に出しながら、私はこちらに突っ込んでくる仮想ヴィランに向けて、手に持った剣を投擲した。それからは、ただただひたすらに仮想ヴィランの殲滅を繰り返す。くるり、遠心力をつけるために回りながら手首のスナップを利かせて剣を投擲すれば、鉄の装甲を簡単に貫いて破壊する。酔わないように左へ、右へと回りながら周囲に投擲を繰り返せば、いつの間にか近づく敵は皆無になっていた。

「そういえば、ポイント数えてないや。」

 今から数えてみようにも、辺りはスクラップの山で正直数えられる気がしない。少なくとも、剣を投げた回数は50くらいのはず。全てが1Pって訳じゃなかったはずだし、とりあえず50P以上だと判断しておけばいいかな。

『残り時間、あと3分!』

 聞こえてきたプレゼントマイクのアナウンスをかき消すくらい大きな倒壊音。どこか、近くのビルが崩れたらしく地響きも酷い。状況を確かめるために近くのビルの上へと飛んだ、その瞬間。ビルよりも大きい超巨大ロボットがビルを掴んでは引き倒し、倒壊したビルを踏みつぶしているのが目に入った。

「あれがお邪魔ギミックとか言ってた0Pヴィラン? そりゃ回避をオススメするはずだよ……」
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