第7章 襲撃、ヴィラン連合!
慌てて走り寄ろうとすると、緑谷君が変に慌てている。そういえば、飛んでいったときに足が風で揺れてた気がする。倒れたままなのも、足が折れちゃってるからか。女の子に抱えられちゃうのは、確かに嫌だよね。男の子のプライドというものもある。
「わかった!焦凍に頼むから安心して!」
「ひぇ!?あ、あの、ちがっ……!?!?」
「焦凍ー!ちょっと手を貸して!」
「ああ。」
私の呼ぶ声を聞いて、焦凍がゆっくりとこちらへ向かって歩いてくる。それをのんびりと待っていると、突然私と緑谷君達を遮るように壁が作られた。びっくりして壁の発生源をみると、にっこりと優しく微笑んだセメントスが地面に手を当てた状態で私を見つめていた。
「怪我人はこちらで見るから、二人は入り口に戻りなさい。皆そこで集合しているから。」
「……わかりました。奏、行こう。」
「あ、うん。わかった。」
焦凍に手を繋がれ、引っ張られるままにその場を離れていく。緑谷君の怪我は心配だし、どうしてセメントスが壁を作ったのか、気にならないわけじゃない。けれど、詮索すべきことでもない。もう、ヴィランによる襲撃は終わったんだから。
「はぁ、疲れたね焦凍。」
「ああ。」
「皆無事かな。」
「他んとこ行ったヴィランもどうせチンピラ程度だ。無事だろ。」
「そうだね。」
入り口から外に出ればもう皆集まっていて、先生達が呼んだんだろう沢山の警官達が外にはいた。ちょこちょこっとした怪我を負っている子もいたけれど、どれも軽症。ヴィランの襲撃を受けたにしては快勝なんじゃないかな。ただ、相澤先生や13号の姿は見えない。私と焦凍の姿を見て手を振ってくれた梅雨ちゃんの傍に一緒に近づいて行って、二人について聞いてみた。
「相澤先生と13号は、ヴィランの攻撃で酷い怪我を負ってしまったの。私も今から警察の人に怪我の具合を聞こうと思ってたのよ。」
「そんな……!なら、早く確認しちゃおう。」