第7章 襲撃、ヴィラン連合!
生徒名簿か何かを持って、私達の人数と状態の確認を取っていた刑事さんに私と梅雨ちゃんで近づいていく。私達に気付いた刑事さんに相澤先生と13号の具合を聞いてみると、13号は酷い怪我ではあるものの、命に別状はないとのこと。ただ、相澤先生の方はより酷い。顔面の骨や両腕の骨は折れ、眼窩底骨は粉々。脳や命に別状はないけれど、目に何らかの後遺症が残る恐れがあると刑事さんが電話を繋げたお医者さんは私達に告げた。相澤先生の個性は目がとても大切な個性。目に後遺症が残るというのはヒーロー活動に大いに関わってきてしまう。どうか後遺症なく、もしくは大したことがない後遺症であってほしいと願わずにはいられなかった。
「緑谷君は!?」
「緑……ああ、あの子ならリカバリーガールの治癒で治療可能だそうだ。オールマイトの怪我もね。二人とも保健室にいるよ。」
飯田君と麗日さんが揃って聞いた緑谷君の様子は、思ったよりも大丈夫そうだった。あれだけ身体をボロボロにしても尚、他者を救けようとする。凄いな、と素直に思う。そして、同時に怖いとも思う。いつか、誰かを救う為に自分を犠牲にしてしまいそうな人だと、そう思う。
安心して通常運転に戻った飯田君が、教室に戻る為に点呼を取り始めたのを聞いてそちらへ近づく。行きと同じように焦凍の隣の席に座って、バスが発車するのを静かに待つ。
「奏、トップってのは遠いな。」
「そうだね。」
「けど、いつか左を使わずになってみせる。だから、隣で見てろ。」
「……うん。」
ぎゅっと痛いくらいの力で右手を握られる。隣にいろと言われた嬉しさと、左を憎む悲しさでない交ぜになる感情を、どう表せばいいだろう。ああ、早く。早く焦凍が救われる日が来ることを待ち望んでいる。だから私は何も言わず、そっと焦凍の手を握り返した。ずっと隣にいるために。
――ずっと、私を見ていてもらうために。
一番最初に“私”を拾い上げてくれた人の傍にあり続ける。それが、私の望みだから。