第7章 襲撃、ヴィラン連合!
そうして、オールマイトと脳無が激突する。ぶつかり合った拳と拳が巻き起こす風圧と衝撃波は私達を、私達を害そうとしてこちらに走ってきていたリーダーを、吹き飛ばす。オールマイトから発せられる気迫と、まるで嵐の中にいるような風圧が身体にかかってとてもじゃないけれど近づけない。むしろ、今この瞬間に身体が吹き飛ばされないようにガードしているだけで精一杯だ。
「奏、俺の後ろにいろ。」
私の前に立って風除けになってくれる焦凍の言葉に甘えて肩を掴む。肩越しに繰り広げられる攻防は凄まじいもので、オールマイトと脳無は目に見えないくらいのラッシュをお互いに叩き込み合っている。けれど、脳無の個性には“ショック吸収”がある。打撃じゃ、脳無は――そう思っていたら、徐々に脳無がオールマイトの打撃に押され始めた。
拳と拳がぶつかり合っていたはずが徐々に身体で受けるようになり、そして吹き飛んだ。もう、そうなってからは一方的で。抵抗するようにパンチを繰り出す脳無を軽くあしらい、まるでお手玉でもしているかのようにオールマイトは地面をその足で割りながら上へ、下へと叩き飛ばす。
「ヴィランよ、こんな言葉を知っているか!?プルス、ウルトラー!!!」
普通の人間なら死んでいる高さから叩き落され、その反動で一度跳ねた脳無の胴にオールマイト渾身の右ストレートが決まった。その一撃はショック吸収すら無効にし、爆発的なスピードで脳無をぶっ飛ばす。脳無は天井にぶち当たったけれど、その程度じゃ脳無に乗った力は止まらない。頑丈に作られた天井すら突き破り、天高く、雲の向こうまで脳無は吹き飛ばされていく。私達に襲い掛かった闇を切り払うかのように、天井に空いた穴から陽の光が降り注ぐ。No.1ヒーロー・オールマイトの、圧勝だった。