第7章 襲撃、ヴィラン連合!
そう、私達は吹き飛んだ後にもう一度轟音を聞いている。そして、その方向にあったのは誰かが吹き飛ばされた跡と、壊れた壁だ。そこに立っていたのは、オールマイト。あの一瞬で、オールマイトは爆豪君を庇ったんだ。もう一度オールマイトに個性をかける。止血はしたけど、あれだけの衝撃なんて受けたら塞いだ傷が戻っていてもおかしくない。むしろ、私にできる限りで治療しないと怪我が悪化しかねない。
広がった青い円を見て一瞬だけオールマイトは私を見たけれど、その視線はすぐに怒りを宿して怪力を爆豪君に振るおうとした脳無、そして命令したリーダーに向けられた。
「加減を知らんのか!」
「仲間を助ける為さ、仕方ないだろ?さっきだってほら、そこの……地味な奴。あいつが俺に向かって思いっきり殴りかかろうとしたぜ?他が為に振るう暴力は美談になるんだ。そうだろ?ヒーロー。」
楽しげな、それでいて不気味な声でヴィランのリーダーは話を続ける。
「俺はなオールマイト、怒っているんだ。同じ暴力が、ヴィランとヒーローでカテゴライズされ、善し悪しが決まるこの世の中に!何が平和の象徴!所詮、抑圧の為の暴力装置だ、お前は!暴力は暴力しか生まないのだと、お前を殺すことで世に知らしめるのさ!」
「……滅茶苦茶だなぁ。そういう思想犯の目は静かに燃ゆるもの。自分が楽しみたいだけだろう、嘘つきめ。」
「……バレるの早っ。」
一体、何なんだろうこの人は。思想犯を装う程度には口や頭がまわるけど、やっていることは力を持て余した子供みたい。こんな人に、人体実験をするような悪党が普通手を貸すかな。改造ヴィランがどこまで使えるかの実験の為に貸し出した?……うん、まだそっちのほうが理解できる。なら、あの黒い霧のヴィランはその悪党が改造ヴィランを回収するためについてきているって考えた方がいいのかも。
ヴィランに向かって一歩踏み出し、3対6だと口に出す焦凍に続くように皆がやる気をみなぎらせる。私も一旦考えるのは止めて皆に続くようにサーベルを構える。けれど、そんな私達にオールマイトは逃げなさいと告げる。対オールマイトだという脳無がいる状況でオールマイトを置いて逃げるなんて私達ができるわけがない。逃げることを拒否すれば、オールマイトは私達のよく知る安心感を与える強い笑顔で親指を立てる。
「プロの本気を見ていなさい。」