第7章 襲撃、ヴィラン連合!
勇ましい爆豪君の声や、感極まった緑谷君の声が聞こえる。空中で一度宙返りをすると、無事脱出したオールマイトの姿を焦凍の隣に見つける。けれど、やっぱり脇腹の傷が酷い。空を一度蹴って、オールマイトの隣に着地をする。
「オールマイト、怪我が!」
「至情少女。大丈夫、この程度の怪我など平気さ。」
安心させるように笑顔でそう言ってくれるけど、未だにじわじわと赤が広がる傷口はこの程度なんて言える程浅くは見えない。だから、余計なお世話かもしれないけれどオールマイトの脇腹を囲むように青い円を広げる。
「至情少女!?」
「私の“エネルギー操作”はリカバリーガールのような瞬時の治療はできません。が、止血程度ならすぐ終わるのでそのまま受けててください。」
「……すまないね。」
「いえ。」
そう、血管の損傷とか細かい怪我なら数秒あれば治せる。けど、抉れてしまった肉の再生には時間がかかる。できれば、完全に治療してオールマイトが万全に力を振るえる状態にしたいところだけど仕方ない。止血が終わって、役目を果たした青い円が散るのを見届けた所でオールマイトの向こう――爆豪君のいる方から爆発音が聞こえてきた。
「動くな!怪しい動きをしたと俺が判断したら、すぐ爆破する!」
「ヒーローらしからぬ言動……」
切島君の言う通り、ヒーローらしからぬヴィランみたいな行動だけれど正しい対処でもある。爆豪君があのヴィランを押さえていてくれている限り、リーダーは逃げることができないのだから。
「攻略された上に、全員ほぼ無傷。てか、お前……オールマイトの怪我を治したってことは回復キャラか?回復キャラのくせして斬りかかってくるとか、最近の子供は凄いなぁ。……恥ずかしくなってくるぜ、ヴィラン連合。」
両手を組んだ状態で、リーダーは右側半身を焦凍に氷漬けにされたヴィランに脳無、と話しかけた。呼ばれたヴィラン――脳無は、凍り付いた身体を無理やり動かしてブリッジになった状態から上半身を起こそうとする。そんなことをしたらどうなるか、当然……凍り付いた右手と右足が嫌な音を立てて割れた。