• テキストサイズ

人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第7章 襲撃、ヴィラン連合!


 多分、本心では私にエントランスに戻って欲しいんだと思う。けど、心配しているのは私だって同じ。むしろ、もっと危険な場所へ行こうとする焦凍の方が私に心配されるべきで、私を連れていくべき案件のはず。今までの焦凍なら、一緒に連れて行ってくれていたはずなのに……何が焦凍の考えを変えてしまったのか、私にはわからない。ただ、今のままだと焦凍は私を隣に立たせてくれない状態になるかもしれないということは理解できた。それだけは、嫌。感情が激しく揺れて、八つ当たりをするように地面を蹴る足に余計な力が入る。今は、何も考えたくない。
 ひたすら走って土砂ゾーンの入り口を出てしまえば、噴水の広場はもうすぐそこ。そこで見えた光景は酷いもの。ブリッジのような状態になったオールマイトの脇腹を地面から上半身が生えた脳みそのヴィランの手が抉り、拘束している。そして、それを救けようと走る緑谷君の姿。

「っ、焦凍!」
「わかってる!」

 一生懸命走るけど、距離的に緑谷君の方がヴィランに接敵するのが早い!なら、と”人魚姫”に私へ個性をかけさせて一気に加速させた。それと同じタイミングで上空から聞こえた爆発音。

「退けぇ、邪魔だデクゥ!!!」

 救おうと必死に走り、飛び込んだ緑谷君を遮るように広がった黒い霧。それを飛んできた爆豪君が爆破で打ち払い、霧でできていて実体がないはずのそのヴィランを掴んで地面へ引き倒す。
丁度入れ違いになる形で、私はその霧の影から身体中に手を付けたヴィランのリーダーの懐に一瞬で飛び込んでサーベルを一度振るう。私が飛び込んだと同時くらいに後ろに下がられたから、切れたのは髪の毛数本程度。でも、追撃も深追いも考えない。振るうと同時に後ろへ、脳みそヴィランに当たらないよう大きく焦凍がいる方向目指して飛ぶ。と、今度は切島君が私と入れ替わるようにヴィランのリーダーに追撃を振るう。けど、これも当たることなく避けられて、切島君はバックステップで距離を取り直した。

「スカしてんじゃねぇぞモヤモブが!」
「てめぇらがオールマイト殺しを実行する役とだけ聞いた。……平和の象徴は、てめぇら如きに殺れねぇよ。」
「かっちゃん……皆……!」
/ 272ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp