第7章 襲撃、ヴィラン連合!
遠距離が得意な焦凍と、その焦凍のサポートができるようにエンデヴァーさんに鍛えられた私。私達なら、多少強いヴィランが相手でも対等に渡り合えるはず。サーベルを両手に出して、構えを取る。けれど、その私を背に庇うようにしながら焦凍が前に立つ。ちょっと待って。近距離の私が相手を撹乱して、その隙に捕らえるのが焦凍の役割でしょう?どうして焦凍が私の前に立つの!
「ちょっと、焦凍?」
「……下がってろ。」
「私だって戦える!」
「いいから、下がってろ。」
そう言い終わるか終わらないかくらいの間に、生徒二人に差し向けるには少々多すぎるくらいのヴィラン達ががれきの向こうから姿を現す。私達を確認するなり、にやにやと馬鹿にしたように笑みを浮かべるヴィラン達。私達を生徒だからと見下した、余裕綽々の態度は正直言ってこの手の込んだ襲撃を企てたヴィランだとは思えない。まるで、どこにでもいる個性を持て余したチンピラみたいだ。
「へへっ、みつけたぜぇ。」
「大人しくするなら、楽に殺してやるよ。」
「女もいるじゃねぇか。こりゃぁ大切に扱ってやらねぇとなぁ?」
自分達が勝つと信じて疑っていない姿勢に下品な笑い方。数と歳の差だけで随分と優越感に浸って、何も見えちゃいない。そんなだから、焦凍の踏み出した右足から勢いよく伸びてくる氷結を避けることもできずに氷像へと変えられてしまうんだ。
「な、なんだこりゃぁ!?」
「い、いてぇ……冷てぇ……」
「子供一人に情けねぇな。しっかりしろよ、大人だろ?」
痛みと寒さで呻くヴィラン達相手に焦凍が拍子抜けしたと言わんばかりに言葉を放つ。さっきチンピラみたいだって思ったけど、訂正する。間違いなく、ただのチンピラ程度のヴィランだ。本当に、こいつらがオールマイトを殺す算段を立てたの?
「“散らして殺す”か。言っちゃわりぃがあんたら、どうみても個性を持て余した輩以上には見受けられねぇよ。」
霜柱を踏みながら、焦凍がゆっくりと凍りついたヴィランの元へと歩いていく。どういうつもりなのか一瞬だけ迷うけど、何も考えなしで動くことはしないからそのまま静かに見守る姿勢を貫く。そして、後ろからかすかに聞こえた靴が土をこする音。