第7章 襲撃、ヴィラン連合!
「っ、焦凍!?」
「奏、あいつらの所に行くつもりか。」
「だって、あのままじゃ……」
「冷静になれ!二人も引きずって早く動けるほど、お前に筋力はねぇだろ!」
「それはっ……」
否定、できない。爆豪君も切島君も鍛え上げられた身体をしているし、身長だってある。そんな男子二人を素早く移動させるには、私の力が足りない!個性で筋力を増強しようと思っても、安全に増強できるのはせいぜい10%程度。その程度じゃ瞬時にヴィランの前から離脱するのは無理……!爆豪君か切島君のどちらかだけだったら私でもなんとかできた。でも、そうでない以上私にできるのはヴィランが倒れてくれていることを願うだけ。
「危ない、危ない。……そう、生徒とはいえ優秀な金の卵。」
……やっぱり、そう都合よくはいかないよね。徐々に晴れ始めた煙の向こうからヴィランの声がする。その声は余裕でゆったりとしていて、相手が一切のダメージを負っていないことを伝えてくる。そして、大馬鹿コンビの立ち位置はそのヴィランのすぐ前。ああ、どうしようもない。
「だめだ!退きなさい二人とも!」
「私の役目は……貴方達を散らして、嬲り殺す!」
ヴィランの身体から勢いよく霧が吹き出し、私達を襲う。まるで暴風域に立っているような吹きすさぶ風と霧で前すら碌に見ることができない。
「っ、奏!」
「んぐっ。」
強く掴まれていた腕が引かれ、暖かくて固い何かに顔を打ち付ける。そして、ぎゅっと抱きしめられる感覚に続いてぐるりと回る感覚。誰が、何をしたのかなんて、そんなの簡単にわかる。わかってしまう。焦凍が、私を庇おうとしているんだって。
だめ、焦凍が私のせいで怪我をするなんて、絶対にだめ!
「焦凍!?」
「じっとしてろ。」