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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第7章 襲撃、ヴィラン連合!


 相澤先生が私達に指示を飛ばしながら首にかけていたゴーグルを装着する。あの人数を相手に、先生が殿を務めるつもりなの……?

「先生は!?一人で戦うんですか!?あの数じゃ、いくら個性を消すといっても……。イレイザーヘッドの戦闘スタイルは、敵の個性を消してからの捕縛だ。正面戦闘は……」

 相澤先生の戦闘能力は、正直見たことがないからわからない。プロヒーローだし強いと思うけど、ヒーロー博士の緑谷君が歯切れ悪く言葉を切った。続く言葉はきっと、“不利”か“苦手”かのどっちか。一対一ならなんとかなっても、あれだけの人数を一度に相手にするのは……

「一芸だけじゃ、ヒーローは務まらん。13号、後は頼む。」

 そう声をかけた次の瞬間、高台から地面へと降りる長い階段を飛び降りていく。衝撃を感じさせない身軽さで地面へ降り立ち、姿勢を低くしながらヴィラン達に向かって相澤先生が走っていく。その先生に向かって長距離の射程を持つヴィラン三人が個性を使おうと構える。けれども個性を消されたらしく、ヴィラン達は個性を使うことができない。どうして?そうヴィランの顔に感情が浮かんだ次の瞬間には、構えていた三人は相澤先生の手足のように動く捕縛武器で宙に攫われ、そして互いにぶつかり合わされて意識を刈り取られた。
 次に立ちはだかるのは異形型の個性を持つ大柄の男。スピードの乗った力任せの攻撃を相澤先生に繰り出していくけれど、その全てを相澤先生は容易く見切り、顔面への鋭い一撃をおみまいする。綺麗に決められ吹っ飛んだ異形型ヴィランは、足に捕縛武器を巻き付けられて集団で固まっていたヴィランのグループに叩き落されていった。
 いっそ芸術的なまでの近接格闘術。“ヒーローは一芸だけじゃ務まらない”か。なるほど、私達の先生は超一流のプロヒーローだ!めちゃくちゃかっこいいよ、相澤先生!

「行こう、緑谷君。」
「え、あ、至情さん!?」

 もう、何一つ心配することはない。むしろ、立ち止まってしまった方が先生の邪魔になる。私と同じように相澤先生を見守っていた緑谷君の手を引いて、すでに撤退を開始している皆の後に続く。私達が集まっていた階段付近から施設の出口までは、ほどほどに遠い。もうすこしエントランス狭くしておいてくださいよ!なんて意味のない愚痴を心の中で零しながらひたすら走る。
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