第7章 襲撃、ヴィラン連合!
「なんだありゃ?また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」
「動くな!!!」
私以外の人――切島君が私と同じ霧を確認して、全く警戒していないのんびりとした声でそんなことを言う。そして、その“もう始まってるパターン”と言われて足を動かそうとした緑谷君を相澤先生の鋭い声が止める。
こうしている間に、広がった霧からは一人、また一人と現れて広場をゆっくりと埋め尽くしていく。間違いない、あれは――
「あれは……ヴィランだ!!!」
「ヴィラン!?馬鹿だろ!ヒーローの巣窟に入り込んでくるなんて、アホすぎるぞ!」
「先生、侵入者用センサーは!?」
「もちろんありますが……!」
相澤先生の言葉で漸く事態を把握した皆に緊張と不安が走る。八百万さんが慌てて13号にセキュリティーの確認を取るものの、センサーは反応した様子はない。雄英の校内や施設にはいたるところに侵入者用センサーが配置されている。マスコミがひっかかったのもそれ。けど、そのセンサーが反応している様子がない。ジャミングされている……?
「現れたのはここだけか、学校全体か……何にせよセンサーが反応しねぇなら、向こうにそういうことができるヤツがいるってことだ。校舎と離れた隔離空間、そこにクラスが入る時間割……馬鹿だがアホじゃねぇ。これは、何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ。」
「あのマスコミ騒動の時に侵入して、カリキュラムとか色々盗んだんじゃないかな。あの日以来先生達が巡回してたのは、こういった事態を警戒してたんだね。」
焦凍の言う通り、目の前にいるのはそこらへんにいるようなチンピラ程度のヴィランじゃない。プロヒーローでもめちゃくちゃ警戒してあたらないといけないタイプのヴィラン。少なくとも、まだ雄英に入ったばかりの私達一年生が戦っていい相手じゃない。特に危なそうなのは、あの出てきた広場から動いていないヴィラン達。焦凍と私の発言で更に不安を煽る結果にはなってしまったけれど、向かっていこうっていう気が削がれたのなら避難するには丁度いいはず。だから、特にフォローはせずに黙っておく。
「13号、避難開始!学校に電話試せ。センサーの対策も頭にあるヴィランだ、電波系のヤツが妨害している可能性がある。上鳴!お前も個性で連絡試せ。」