第7章 襲撃、ヴィラン連合!
「超人社会は個性の使用を資格制にし、厳しく規制することで一見成り立っているようには見えます。しかし、一歩間違えれば容易に人を殺せる“いきすぎた個性”を個々が持っていることを忘れないでください。」
その言葉に、皆の顔が引き締まっていくのを肌で感じる。包丁が料理にだけじゃなく人だって殺せるように、個性の使い方次第で私達はヒーローにもヴィランにもなる。例えば、焦凍の“半冷半燃”。相手の身体を氷漬けにして放置してしまえば、そのまま相手の身体は凍傷で壊死するか、砕けてしまう。爆豪君の“爆破”だって、威力を気にせず打てば相手は木端微塵。私のなんか、もっとわかりやすい。サーベルで相手を刺すか斬るかしてしまえば死んでしまう。
「相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。この授業では心機一転!人命の為に個性をどう活用するかを学んでいきましょう!君達の力は人を傷つける為にあるのではない。救ける為にあるのだと心得て帰ってくださいな。」
重みのある言葉が深く心を揺らす。武者震いにも似た、背筋が震える感覚に手を強く握りしめる。そう、私達の個性は人を救ける為の物。決して、傷つける為の物じゃない。私達はヒーローになる為にここにいるのだから。
「以上!ご静聴ありがとうございました。」
「そんじゃ、まずは――」
口々に13号を讃える皆の声を遮って、相澤先生が授業を進めようと口を開いたその時。突然施設の照明が落ちる。幸い天井は光を通しやすいものでできているのか、施設内は少し薄暗くなった程度で済んでいる。でも、急にどうして……。
「ひと固まりになって動くな!」
今までに聞いたことのないくらい気迫のこもった相澤先生の声。何か、緊急事態が発生した?気を引き締めて、ゆっくりと天井の照明へ向けていた目を相澤先生の見ている方へと移す。すると、広場の中心――噴水のある辺りに黒い霧が大きく広がっていく所が目に入った。
「13号!生徒を守れ!」
霧の正体はよくわからない。そして、アレの正体を先生も知らない。つまり、よろしくないものであると判断していつでも動けるように注意を払う。