第7章 襲撃、ヴィラン連合!
「さぁ、早速中に入りましょう。」
13号に案内されて、施設の中へと足を踏み入れて焦凍の隣に並ぶ。高台に作られたエントランスから眺めた施設の広さはテーマ―パークが丸々一つ入りそうなくらいで、倒壊したビルのゾーンや岩山、水害ゾーン等の様々な地形がアトラクションのように用意されている。
「すっげぇ、USJかよー!」
「水難事故、土砂災害、火災、暴風、エトセトラ。あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名も……“嘘の災害や事故ルーム”略して、USJ―!」
ほんとにUSJだったー!!!いやいや、いいんですか?その名前で!まるでマスコットキャラクターのようにポーズを決める13号から視線をそらし、慌ててアトラクショ……いやいや、演習場の配置を見てみる。ああ……なんというか、もうテーマパークにしか見えなくなってきた気がする……。
演習場内を見回していた目を先生達の方へと戻すと、二人は何かを打ち合わせしているようだった。多分授業内容のお話。それか、この場にいないオールマイト関係か。いずれにせよ、特に気にすることでもない。観察も終わったことだし、私は静かに先生の話が始まるのを待つ。
「仕方ない、始めるか。」
相談が終わったらしく、相澤先生は13号から離れてテーマパークでよく見かけるエントランスの柱に背を預ける。そして、13号先生は私達に一歩近づいて手を広げて話し始める。
「えー、始める前にお小言を一つ、二つ……三つ……四つ……」
増える……少しだけのつもりだったんだよ?と言わんばかりに数が増えていく……。少しどんよりとし始めた空気の中でも変わらない明るさと優しさがこもった声で13号は続けていく。
「皆さんご存知だとは思いますが、僕の個性は“ブラックホール”。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます。」
「その個性でどんな災害からも人を救い上げるんですよね。」
「ええ……しかし、簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう“個性”がいるでしょう。」
13号の個性の話にヒーロー博士の緑谷君が思わず、といった感じで口を挟む。尊敬と憧憬がこれでもかと詰め込まれたその言葉に対し、13号は至極冷静に、落ち着いた声で返した。