第7章 襲撃、ヴィラン連合!
訓練場へと移動するバスの中、皆は出席番号順関係なく席に座っている。……いや、そう言っちゃうと誤解が生じるか。正確には、2列席じゃない乗り合いバスだったから飯田君が処理しきれずにショートした、だ。予想外の出来事にはめちゃくちゃ弱い飯田君を置いて、皆好き勝手に席を取っていったので適当な並び。そして、バスの中が学生で埋まると必然的に話が盛り上がるもの。中でもコミュニケーション能力の高い上鳴君や切島君の座っている席辺りなんかが個性の話で盛り上がっているのが聞こえてくる。
「まぁ派手でつえぇって言ったら、やっぱり轟と爆豪だよな!」
おお、思わぬところで焦凍に飛び火。けど残念、話を振られても私の隣に座っている焦凍はおやすみ中で全く聞いてない。個性を褒められて少しだけ照れくさそうにそっぽを向いた爆豪君は、次の瞬間には弄られる対象として上鳴君や梅雨ちゃんにいいように転がされている。特に、上鳴君のボキャブラリーはある意味すごい。“クソを下水で煮込んだ性格”って……。爆豪君の席は私のすぐ前だし、絡まれると面倒だから笑わないよう注意したつもりだけど、隠しきれなかった笑いはすぐ爆豪君に拾われた。
「おい……何笑ってんだぁクソ女!」
「クソを煮込んだ爆豪君には言われたくないかな。ぷふっ。」
「てっめぇ、いい度胸だなゴラァ!」
「またそんなに手を爆破させて……ワンパターンだよ、爆豪君。」
「うっせえわ、金魚の糞が!」
「……うるせぇぞ、爆豪。寝れねぇ。」
「てめぇはそもそも寝てんじゃねーよ、半分野郎!」
片手をボンボン爆破させながら威圧してくる爆豪君と言い合いをしていたせいで焦凍まで参戦。寝起きで少し掠れた声が、不機嫌でより低くなってる……。
騒がしくなったバスにとうとう堪忍袋の緒が切れた相澤先生の鶴の一声で、不満ながらも焦凍が流し、爆豪君が一方的に怒鳴る喧嘩が終わった。
その後、すぐにバスは目的地である円形の大きな施設に到着する。その入り口では宇宙服に身を包んだ人、スペースヒーロー・13号が私達を待っていた。今まで画面越しでしか会えなかった超有名ヒーローに驚きと感激の声がそこら中から上がっている。