第7章 襲撃、ヴィラン連合!
――PM 12:50
「今日のヒーロー基礎学だが……俺とオールマイト、そしてもう一人の三人体制で見ることになった。」
三人体制で見ることに“なった”。その言葉でまた違和感が顔を出す。元々三人で見る予定じゃなかったっていうのは、つまり見る人数を増やしたってことになるのかな?クラスの皆も相澤先生の言い方に疑問を抱いたみたいで少しざわついている。
「はーい、なにするんですか?」
困惑する空気を割くように手を挙げて、明るく瀬呂君が先生に問いかける。問われた先生は答えるよりもまず、手に持ったプレートを私達の前に掲げてみせる。それは、最初にオールマイトに見せてもらったあのプレートと同じもので、書かれていたのは“RESCUE”の文字。
「災害、水難、なんでもござれ。レスキュー訓練だ。」
今の超人社会では個性を持て余してしまったヴィラン達が事件を起こすことも多いから、ヒーローによる捕縛が一種の見世物のようになっている。けれど、ヒーロー本来の仕事は人を救けること。当然、レスキュー活動だってしている。とくに有名なのは、オールマイトが一人で千人以上を救い出したあの災害動画かもしれない。
つまり何が言いたいのかというと、レスキュー訓練も皆がテンション上げて取り組みたがる訓練だってこと。勿論、私もその内の一人。“活性”はできることも多いしね。
自分の個性を如何に使うかで盛り上がり始めるクラスに、相澤先生が「まだ説明の途中。」と怒る程度に。無駄を嫌う相澤先生によって教育済みの教室は、静かに相澤先生が怒るだけで瞬時に落ち着きを取り戻す。
「今回コスチュームの着用は、各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。」
手元のコントローラーを操作して、教室の壁に仕舞われたコスチュームの棚を開けながら淡々と相澤先生は説明を続けていく。
「訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上、準備開始!」
説明が終わると同時に、皆は行動を開始する。順番に並んでコスチュームの入ったケースを手に取った頃にはもう先生の姿はない。無駄を嫌う先生らしいなぁと思いながら、私は丁度一緒にいた耳郎さんと一緒に更衣室へと向かった。