第7章 襲撃、ヴィラン連合!
マスコミそのものがおいしいニュースのネタになりそうな一件を起こした後、私達はとっても静かな学校生活を送っていた。突然起こった非日常は記憶に残りやすいけど、喉元過ぎればなんとやら。数日経てば「マスコミ騒動?そんなこともあったよね~」と軽く流されるようになっていた。
そんな平和な今日は、皆大好きなヒーロー基礎学がある。流石のヒーロー基礎学、個性も体力もめちゃくちゃ使うからお昼にはがっつりとハンバーグ定食を頂きました。焦凍?今日も冷たいお蕎麦だよ。ほんと、好きだよね。
いつもよりも早い時間のランチタイムを終えて、教室に帰ろうとガラス張りの廊下を焦凍と一緒に歩く。広く作られた廊下にはまだ本来のお昼休みには早いのもあって人がいない。二人で特に話すことなく歩いているのも暇だ。ちらりと廊下から逸らした目が窓の外で見回りをする先生の姿を捉える。私が巡回をする先生を見るのはこれで四度目くらいになる。
「また先生が巡回してる。」
「また?何度か見かけたのか?」
「うん。少なくとも私が見かけるようになったのはマスコミ騒動からかな。焦凍は?」
「いや、見たことねぇ。」
「そっか。」
まぁ、天下の雄英高校。下手なマスコミやヴィランが校内に侵入してこないように厳しいセキュリティーが敷かれている。ちなみに、生徒手帳がキーになっているらしいので、忘れてきちゃうと門のセキュリティーが発動して一瞬で閉じてしまうんだとか。その門をマスコミ程度に越えられてしまったって危機感からこうなってもおかしくはないのかな。……ちょっと過敏な気もするけど。
なんだか、釈然としない。ただそれだけの理由で窓から目をそらせない私の手を誰かが引く。誰に触れられたのか一瞬わからなくて、身体が硬直しかける。
「行くぞ。」
聞こえた低くて安心する声は、紛れもない焦凍のもの。先に行ったくせに、わざわざ戻ってきたんだ。胸が暖かくなって、引かれた手に力を入れる。それと同時に学校側の対応で感じた喉に小骨が刺さるような違和感。それを飲み下して、焦凍に置いていかれないように足を動かした。