第6章 人騒がせなマスコミ
制服に乱れなし、そして汗もなし!これで、黙ってたら個性を使用したこともばれない!嬉々と焦凍の手を取って一緒にクラスへ向かう。帰りにまた全力疾走するのは面倒くさいし、ばれなきゃいいとは言ってもヒーロー志望者がほいほい法律破るのはよろしくない。さっさとマスコミ全員帰ってくれるといいんだけどなぁ……。
教室の馬鹿でかいドアを開く。皆は件の報道陣に捕まってインタビューを受けさせられたのか、ちょっとお疲れ気味のようだ。おはようと挨拶をしながら「マスコミって面倒くさいよねー」と話をしていると、梅雨ちゃんが「でも、」と切り出す。
「将来ああいうマスコミに上手く対応できなきゃいけないのよね。そう思うと、オールマイトってすごいわ。」
「確かに。あれだけパワフルなマスコミに対して凄いよね。」
窓から門の方を見つめる梅雨ちゃんに同意する。サービス精神が凄いから、マスコミ受けもいいし人気も高い。まぁ、だからちょっと強引でも許されるって勘違いしたマスコミが暴動まがいのことを起こしたりもするわけだけど。こういうことするからマスコミはよく思われないって理解できないんだろうか。いや、私達がおいしいネタになるって思っている時点で微塵にも考えてないに違いない。
クラス全員がそろう頃、学校の予鈴が鳴り響く。相澤先生が来る前にしっかり席についておかないと、あの血走った目で睨みつけられるのは学習済み。席について大人しく待つ。すると、からりと静かな扉の開く音と一緒に相澤先生が黒板の前に立つ。
「さて、昨日の戦闘訓練おつかれさん。VTRと成績を見たが、爆豪。お前はもうガキみてぇなマネするな。能力あるんだから。」
「……わかってる。」
「んで、緑谷は……また腕ぶっ壊して“一件落着”か。個性の制御、いつまでも“できないから仕方がない”じゃ通させねぇぞ。俺は同じことを言うのが嫌いだ。……それさえクリアすればやれることは多い。焦れよ、緑谷。」
「っ、はいっ!」
「まだいくつか言いたいこともあるが……ホームルームの本題だ。急で悪いが、これから君らに――」
お小言から始まったホームルーム、そして今までの相澤先生による“Plus Ultra”。全員がこれから何を言い出されるのか固唾をのんで先生の話を聞く。次は何を言われる?抜き打ちテスト?それとも”Plus Ultra”な実技演習!?