第6章 人騒がせなマスコミ
初日の雄英高校でのヒーロー基礎学では、緑谷君が重症を負ったものの随分とまともな授業で終了した。あの後、クラスの皆には反省会に誘われたりもしたんだけど……私と焦凍は冬美さんから夕飯の買い出しを頼まれたのもあって早々に離脱。結局、焦凍がどうしてぼんやりとしていたのかはわからない。ただ、自分の中で上手く消化できたのか朝になった戻っていたし大丈夫なんでしょ。
さて、今日は二日目の学校。昨日と同じように二人そろって登校してきたわけだけど……門の前が大変なことになっていた。
「すっごいマスコミ。」
「……面倒だな。」
オールマイトが雄英高校の教師に就任。そのことは入学前に割とニュースになった。あのNo.1ヒーローに教えを乞うことができるということで、元々高かった雄英への注目度はめちゃくちゃに高まったといえる。だから、マスコミが来ることは予想してた。してたけど、昨日登校した時はマスコミがいなかったから油断したのもまた事実。マスコミの群衆は雄英高校の門前をがっつりと覆っていて、どうあがいてもあそこを通らないと校舎に入れそうにない。かといって、あそこを通りたいかって言われると嫌だと即答で返せる。だから、私は焦凍に一つ提案してみることにする。
「ねぇ焦凍。あのマスコミに捕まるのは嫌だよね?」
「……そうだな。」
「なら、私が今からすること黙っててくれる?」
「………わかった。」
「交渉成立!対策されると面倒だし、さっさと駆け抜けちゃおう。」
答えを出すまでに色々考えたみたいだけど、もみくちゃにされるよりはマシだと判断したかな?なにはともあれ、これで遠慮なく使うことができる。にっこり笑って私は自分の両足と焦凍の両足に活性をかける。本来は敷地外で個性を使うことは許されていない。けど、要はばれなきゃいいのです。そして、インタビューは報道陣に捕まらなかったら受けなくてもいいのです!
二人そろって門へと全力で走る。直に走ってるから飯田君のエンジンよりは遅い。けど、記者達が私達に気付いて手を伸ばす頃にはもう門の向こう側。ミッションクリア!
「よし、セーフ!」
「だな。」