第5章 戦闘訓練
オールマイトの指示で次の舞台になるビルへと移動し、BチームとIチームを残して私達は地下のモニタールームへ。モニターには核の前で何かを話している様子のIチームが映っている。
「なぁ。お前あの轟って奴と話してたよな。知り合いか?」
「えっと、君は……切島君、だっけ?」
人懐っこい笑みを浮かべる赤い髪の男子をそう呼ぶと、ちゃんと合っていたようで勢いよく頷いてくる。ついでに私も名乗ると手を差し出されたから私も差し出して握手をする。
「よろしくな、至情。で、どうなんだ?」
「私と焦凍は幼馴染なの。」
「へぇ。そうなのか。さっきあいつ右手を凍らせてただろ?やっぱ氷の個性なのか?」
めちゃくちゃ気になります。と顔に出ている切島君に苦笑いをする。焦凍は昨日の個性把握テストで3位だったし、まぁ気になるよね。けど、どうせなら驚いて欲しいなぁ。
「教えてもいいんだけど、始まったらすぐにわかると思うんだよね。」
「そうか?」
「うん。それに、多分知らないで見た方が驚くよ。」
不思議そうな顔で私を見つめた後、モニターの方へ向き直る切島君。切島君ってすごく素直な人だし、これはなかなかリアクションが期待できるんじゃないかな?訓練開始を今か今かと待つ。そして――
「では、スタートだ!」
オールマイトの合図を聞いて、まず障子君がビルの中へ入る。障子君はぐっと膜でつながった6本の腕を広げると、2対の腕の先を手から耳へと変化させた。ただ腕が6本ある個性じゃない。思った個性と違ったことで数人がざわついた。
「うお、あれ腕じゃなかったのか!?」
「腕を変化させる個性、とか……?」
そういえば、近くで見た時あの変化させた2対は腕よりも少しだけ細めだった気もする。あの2対は、正確には腕じゃないのかも。
障子君が腕?の一本を口に変えて何かを焦凍に話す仕草を見せる。そして――
「んん?なんか、さみぃ!」
焦凍がビルの壁に手を触れた後、ビルが勢いよく凍り付いていく。パキパキと聞き馴染んだ氷結の音が聞こえて上を見上げてみれば、焦凍の個性が地下にあるこのモニタールームにまで届いて天井や壁を凍らせてしまっている。思ったより範囲を広げすぎたのか、私達のことをすっかり失念しているのか。白いため息を吐きながら、コスチュームのマントで身体を包む。風邪ひいたら焦凍のほっぺたつねってやるんだから。