第5章 戦闘訓練
オールマイトに憧れてヒーローを志す人はめちゃくちゃ多い。雄英の倍率が高いのも、オールマイトがこの学校の卒業生だからというのが理由の一つに上がる。つまり、このクラスにもオールマイトファンはいっぱいいる。表情にはあんまり出ていないけれど、私にはわかる。焦凍がオールマイトを嬉しそうに見ている。そうだよね、私にオールマイトが先生になるって嬉しそうに教えてくれたもんね。合否通知の時を思い出して微笑ましく見つめた。
「私の担当は“ヒーロー基礎学”。ヒーローの素地を作る為、様々な訓練を行う科目だ。単位数も、最も多いぞ!早速だが、今日はこれ!」
ぐっと全身に力を入れ、そして勢いよく私達の前に突き出されたカードに書かれていたのは“Battle”、つまり戦闘訓練。戦闘訓練だと聞いて、自分の個性に自信がある爆豪君が真っ先に反応している。ヒーローに憧れる=鮮やかに敵を倒すことに少なからず憧れのある皆も、テンションは上がっていた。
「そしてそいつに伴って、こちら!入学前に提出してもらった個性届と要望に沿って作られたコスチューム!」
その言葉と共にオールマイトがスイッチを押すと、ただの壁だと思っていたところに隙間ができ、機械音とともにロッカーのような棚が現れる。ロッカーの中にはケースがあり、それぞれ1~21まで番号が振られている。この中に、私達専用のコスチュームが入っている。テンションは最高潮まで上がり、皆の歓声が響き渡った。
「着替えたら順次、グラウンドβに集まるんだ。」
「「「はーい!!!」」」
その言葉の後、出席番号順でコスチューム入りのケースが配られる。オールマイトの手で配られるそのケースを皆感極まったように受け取って、カリキュラムと一緒に配られたマップにあった更衣室へと移動していく。
女子更衣室はなかなか広く、それぞれ専用のロッカーも用意されていた。替えの下着や汗を拭くタオルなんかを詰めたバッグをまずロッカーへと閉まって、次はお待ちかねのコスチューム。お願いした要望への期待と不安に包まれながらケースの留金へと手を伸ばした。