第20章 期末テスト、その前日譚
「クソがぁあああ!!!」
おめでとう!とオールマイトに襷を貰っていると、腹いせなのか思いっきり私の真横に爆破しながら文句と共に爆豪君がゴールしてくる。その目はあの体育祭の時のように吊り上がっていて、怖い。おもわずサッとオールマイトの後ろに避難する。それを目ざとく見ていた爆豪君の目が更に鋭さを増し、両手をボンっと爆破して見せる。
「逃げんなァ!」
「逃げるよ!顔怖いもん!」
「怖かねぇわ!」
「いや、十分怖い顔してるよ爆豪少年……」
飽きれた声色のオールマイトを他所に爆豪君の怒りゲージはガンガン上昇しているようで、静止の声を無視して私を掴もうと伸ばしてくる手からオールマイトを盾にして避ける。ヒートアップした爆豪君がそのまま止まるはずもなく、他の3人がゴールするまで私は爆豪君からオールマイトガードで逃げ回った。
盾にしてごめんなさい、オールマイト……。
――
「はぁ〜……久しぶりの訓練、疲れちゃったねぇ。」
「うん、ほんとに疲れたよ……。」
「葉隠お疲れ。至情は……ドンマイ。」
久しぶりの訓練を終えて、更衣室。疲れ切った葉隠を耳郎さんが労り、そして私に対して慰めるように肩を叩く。まったく、あの追いかけっこまで見られていたというのだから、ちょっと恥ずかしい。ため息を吐きながらコスチュームのチャックを下げ、着替えていく。
「峰田くんやめたまえ!!ノゾキは立派なハンザイ行為だ!」
「オイラのリトルミネタはもう立派なバンザイ行為なんだよォオ!八百万のヤオヨロッパイ!!芦戸の腰つき!!葉隠の浮かぶ下着!!麗日のうららかボディ!!蛙吹の意外おっぱいに至情の腰つきと太ももォオオオオ!!!」
途端、聞こえてきた峰田君の最低な羅列に怒り心頭の耳郎さんが穴に近づいてイヤホンジャックを凄い勢いで差し込む。良い感じに刺さったらしいことが、隣から聞こえてくる峰田君の絶叫で察せられる。ほんと、少しくらい懲りてほしい。
「ありがと、響香ちゃん!」
「何て卑劣……!!すぐに塞いでしまいましょう!!」
「あ。あー・・・・・・耳郎さん、多分イヤホンジャック外してこっちに戻した方がいい。やお、百ちゃんもちょっと待って。」