第19章 伝え合う熱と、心
「好き、好きなの。焦凍のことが、ずっと異性として好きだったの……!
でも、私のこの感情は綺麗なものなんかじゃ絶対にない。それでも、良いの……?」
「んなこと言ったら、俺だってそうだ。奏を俺のだって言いたくて告白してるようなもんだし、そんなもんだろ。」
そもそも、感情の綺麗、汚いで言ったら復讐心を抱えてた俺はどうなるんだって話だ。色んなもんを蔑ろにしてきた。……それでも、奏は俺のことを優しい人だって言ってくれるから。お前の声があれば、どんなことがあっても俺は俺自身を忘れることはない。
そして、俺も俺なりにお前を見てきたから知ってる。……お前は何かを酷く怖がってるって。いつか、それについても俺に話して、頼ってくれるといい。
「俺は、奏が優しくて、人をよく見てる奴だって知ってる。だから、何を怖がってんのかわかんねぇけど心配すんなよ。ちゃんと見てるし、側にいるから。だから、頼れ。」
「……うん。ありがと、焦凍。」
じわりと肩が濡れる感覚がする。それを見なかったことにして、ただ腕に力だけ込めた。
隠すのが上手い奏だから、きっと素直に俺に頼るのには時間がかかる。けど、ゆっくりでもいい。ずっと側にいるんだから、時間はいくらでもある。
震える小さな肩を抱いて、病室に戻るにはまだかかりそうだな、と残してきた緑谷と飯田のことを考える。戻ったら、早速付き合うことになったことを言わねぇとな。想いが伝わったことが嬉しくて、自然と口元が緩むのを感じた。