第19章 伝え合う熱と、心
−−−−−−−−−−−−−−轟side
昼食を取っちまえば、診断も済んだ以上何もすることがない。今までなら適当に寝てたんだろうが、今は違う。個性の使い方とか、休日の特訓だとか、そういった話を友達と楽しんでしている。3人で話していると、自分1人だけじゃ出てこない発想もあってすげぇ為になる。……話すってのは、意外と大事なんだな。
蔑ろにしてきたものの大きさをまた1つ知って、ぐっと手を握る。早く、皆に追いつかねぇと。
凄ぇ勢いで捲し立てていた緑谷が、この場にノートがないことに気がついてがっくりと項垂れるのを俺と飯田が宥めていると、軽いノックの音が響いた。慌てた緑谷がうわずった声で応える。すると、扉から顔を覗かせたのは奏だった。
「こんにちは、お邪魔するね。」
にっこりと優しく微笑み、体調はどうかと尋ねながら病室に入ってくる奏をじっと見つめる。座る場所を探しているのか、奏がきょろきょろと病室を見渡すのを見てすかさず俺は見えるように隣を叩く。
気持ちを自覚した今、奏に触れたくて仕方がない。……でも、奏は家以外ではあまりくっつかせてくれねぇ。俺の近くにあった椅子に気がつくと、そっちに腰を下ろした。ダメ元で隣を叩き続けるが、困ったように眉を下げるだけでこっちに来る気配はない。