第19章 伝え合う熱と、心
「……エンデヴァーさんって、不器用なんですね。」
ぽつりと小さく零れた声に、バーニンさんが笑う。
「そうだね。いつも、なんにも言わないからもの凄くわかりにくくて……そんで凄く親バカ。ほんとはさ、職場見学でわざわざエンデヴァーが案内する必要なんてない。けど、いいとこ見せたかったんだろうね。自分で案内するって聞かないの。だから、事務所にいる奴はみーんなエンデヴァーが親バカって知ってるんだ。」
「……そう、ですか。」
知らなかった新しい一面を知った。
きっと、私や焦凍が思うほどエンデヴァーさんは酷い人じゃないのかもしれない。……けれど、それは今更だ。今更、酷い人じゃないって思っても、焦凍にしてきた仕打ちが消えるわけじゃない。そう思う私は、酷い人なんだろうか。
「……とりあえず、そのおすすめのお饅頭を買ってお見舞い行ってきますね。」
「む、そうか。お前も、ちゃんと昼食を取ってから行きなさい。その分も含めて持たせている。……気をつけて行ってこい。」
「はい。……行ってきます。」
これ以上、ここにいたくない。そう思い、一礼して休憩室を出る。
今はただ、焦凍に会いたくて仕方なかった。