• テキストサイズ

人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第18章 恋心の自覚


 三人で改まった挨拶を交わし、正式(?)に友達になる。なんか、落ち着かねぇ。手に持ったままのスマホへ視線を落とす。……奏に、飯田も友達になったってメッセージ送んのは、まずいか?画面を点けると、時刻は丁度お昼時。今なら昼休憩を取ってるかもしれねぇ。
 ドキドキしながらメッセージを開こうと画面に指を滑らせる。するとスマホが突然震え始めて、ビクッと肩が跳ねた。

「お。」
「あ、電話?至情さんからかな?」
「ああ。わりぃ、少し出てくる。」

 緑谷達に話してくると伝えて、スマホを手に病室を出る。ロビーに着くまで待っていられねぇ。ブーブーと震えるスマホの画面の通話ボタンを押して、話しかける。

「もしもし。」
『あ、焦凍?病院なのに電話しちゃってごめんね。怪我、大丈夫?』
「いや、気にしなくていい。怪我も比較的軽症だ、すぐ戻れる。」

 長時間話をしても問題がないよう、急ぎ足でロビーの方へ向かいながら奏の声に耳を傾ける。……恋心を自覚したせいか、声を聞いちまうと会いたくなる。ため息を吐きたい気分になりながらも、でないように必死に堪えた。
 飯田達の怪我について尋ねてくる奏に飯田の怪我を伝えるのを一瞬ためらう。……いや、隠してもすぐわかっちまうことだ。飯田の腕に後遺症が残る事、そして飯田が戒めとしてそれを残す決意をしたことを伝える。一気に沈んだ声を出す奏は自分が油断し、動けなくなってしまったから俺達が傷を負ったと責めているんだろう。怪我なんざ、戦闘してたら自然と増える。全てから守ろうとなんか、しなくていい。

「奏。飯田の怪我も、俺達の怪我も、お前のせいじゃない。お前が気にするべきなのは戦闘中に油断したことだけだ。」

 公衆電話の並んでいる場所に着き、背中を壁に預けながら奏にそう言い聞かせる。でも、と言い募ろうとする奏に「まだ説教が必要か?」と口にすると、奏はクソ親父からのお説教でお腹いっぱいだと笑った。

/ 272ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp