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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第4章 波乱の個性把握テスト


 焦凍も、エンデヴァーさんも、他人にどう見られているかの認識が結構薄い。表情の変わらない顔で淡々とされると威圧感もでるし、何より用事がないと自分から話しかけない。周りの人がその態度を見て、『強個性がお高くとまってる』って思ってることも多分知らない。本当は優しくて、ヒーロー向きな熱い性格でもあるんだけどね。
 尾白君と好きなヒーローの話や、オールマイトの雄英就任について話しているとだんだんクラスに人も増えてきた。挨拶をくれた子には挨拶を返し、話しかけてくれた子と他愛のない話をするうちに空いていた席は埋まっていく。

「君!!!」

 教室に響き渡るほどの大きな声にびっくりしてそっちを振り向く。どこかで見た覚えのあるツンツンヘアーの男子に、糊のきいた制服をぴしっと着こなした、これまたどこかで見た覚えのある男子が何か言い争っている。まぁ、優等生っぽい子がヤンキーっぽい子に言うことと言ったら”態度が悪い”とか……そういったことを注意したんだろう。
気がそれてしまったついでに時計を確認すれば、そろそろ先生も来そうな時間を指示している。一緒に話していた透明人間の女の子、葉隠れさんに自分の席に戻ることを伝えて離れる。席の方に目を向ければ、いつの間にか窓を見ていたはずの焦凍が腕を枕に突っ伏している。まぁ、寝ているわけじゃないだろうしと気にせず椅子を引く。その音を聞いてか、むくりと身体を起こして焦凍が私を見た。

「戻ってきたのか。」
「時間的にそろそろ先生が来そうだから。」

 そう言って席に座ると、また一人クラスメイトがやってくる。殆どの生徒が座っている中で開けたものだから、視線が緑のぼさぼさ頭の子に集中した。あの子は、確か……そう、入試の時にヤンキー君につっかかられていた子だ。あの子、受かってたのか。気弱そうで自信もあまりなさそうな子だったから、個性は戦闘向きじゃないと思ってたんだけど……救助向きの個性持ちだったのかな。
慌てふためいている彼をそのまま観察していると、彼と彼に話しかけていた優等生君、そして後から来た女の子の三人がそろってびっくりした様子で後ずさる。それに続いて入ってきたのは、これまたぼさぼさの長髪に長い布をぐるぐると首に巻いた男性だった。

「担任の相澤消太だ。よろしくね。」
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