第17章 激突、ヒーロー殺し!
ヒーロー殺しを引きずりながら通りに出ると、ヒーローコスチュームを着たおじいさんが向かいの路地裏から出てきた。
「む!?んなっ……なぜお前がここに!!」
「グラントリノ!!!」
なるほど。緑谷君の知り合い。そう思ったのとほぼ同時に、めちゃくちゃ凄い早さで私の横を影が通り過ぎていく。
「座ってろっつったろ!!」
「グラントリノ!!」
えっ……おじいさん、めちゃくちゃ速い。そして、顔面!痛そう……。でも、一応手加減してたのか、ちょっと痛そうにしている程度で済んでいるのがある意味すごい。ぷんすこと怒ってはいるものの、グラントリノと呼ばれたおじいさんは、緑谷君の無事を喜んでいた。
「細道……ここか!」
バタバタと数人が走る音が聞こえてきて、グラントリノさんが来た路地裏からプロヒーロー達が到着する。多分、エンデヴァーさんが呼んでくれた応援の人達だ。
緑谷君達の酷い怪我と私の引きずるヒーロー殺しに驚いた様子を見せたものの、テキパキと救急車なんかの手配を済ませていく。その様子をじっと見ていると、後ろから飯田君に話しかけられた。
「三人とも……僕のせいで傷を負わせた。本当にすまなかった……。何も……見えなく、なってしまっていた……!」
「……僕もごめんね。君があそこまで思いつめてたのに全然見えてなかったんだ。友達なのに……。」
「しっかりしてくれよ。委員長だろ。」
30度くらいに頭を傾けながら謝る飯田君に、緑谷君がそっと近づいて謝る。それを聞いた飯田君は更に涙を溢れさせていた。そんな姿の飯田君に追い打ちをかけるようにぶっきらぼうな言い方をする焦凍だけど、その目はとても優しげだった。
非日常から日常へと戻ってきたような会話にホッとする。無茶をしたけれど飯田君はこうして生きているし、ヒーローを諦めたりもしていない。更にはヒーロー殺しまでこうして捕らえることができた。いや、本来ならこれはプロヒーローのお仕事だし、資格も許可もなしに大立ち回りをしちゃうってとんでもない事やらかしてるんだけど、それでも……今はただお互いの無事を喜んでいたい。